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CHEST かごしまスタートアップ成長支援プログラム

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【イベントレポート】令和8年度 第3回コミュニティイベント「地域の挑戦を、続いていく事業へ」

チェスト交流会第3回集合写真

地域の挑戦を、続いていく事業へ

10月29日(木)、かごしまスタートアップ成長支援プログラム「CHEST」の第3回コミュニティイベントを、ライカ ワークラウンジにて開催しました。

今回は、令和8年度のCHEST採択者3名による事業紹介と、資金調達・PR・マーケティングを専門とするゲスト3名のトークセッションを実施しました。採択者がどのような課題に向き合い、何を実現しようとしているのか。そして、その挑戦を持続可能な事業へと育てていくには、何が必要なのか。それぞれの実践や支援の経験から、お話しいただきました。

話題に上がったのは、技術や商品の特徴だけではありませんでした。なぜ自分たちが取り組むのか。誰に価値を届け、どのような成長を目指すのか。事業を支える人や、日々の関わり方にも目を向ける時間となりました。

本年度採択者によるピッチ

食べることから、口のケアの選択肢を広げる

株式会社Alteonus 代表取締役 平間 雅博 氏

平間氏の出発点には、歯科医師として子どもたちと向き合ってきた経験がありました。病気や治療の事情から、口のケアが大切だとわかっていても、十分に取り組むことが難しい。その現場で感じた課題から、食べることを入り口にしたオーラルヘルスケアの研究・開発に取り組まれています。

紹介されたのは、自ら手に取りたくなる甘いものを通じて、口の健康を支えようとする「歯磨きスイーツ」の構想です。無理に続けてもらうのではなく、自然に続けたくなるものを届ける。そのために、おいしさや使いやすさも大切にされています。

研究で得られた知見を、どのように事業へとつなげるかも課題のひとつです。施設での活用や、地域のお菓子屋さんとの商品づくりを見据えながら、今後の研究を通じて根拠を積み重ね、鹿児島から広く届けていきたいという思いが語られました。

医療機器の安全を、必要な場所へ届ける

株式会社CE-WORKS 代表取締役 中村 隆志 氏

中村氏が取り組まれているのは、医療機器の専門職である臨床工学技士が不在の病院に、機器管理のサービスを届ける事業です。ご自身が臨床工学技士を目指すきっかけには、人工透析を受けていたお母様の存在がありました。

医療機器は、適切に管理されて初めて、命を支える役割を果たせる。一方で、専門職を常勤で雇うほどの業務量がない病院や、採用が難しい病院もあります。そこで考えられたのが、一つの病院で専門職を雇用するだけでなく、複数の病院で専門技術を共有する仕組みでした。

専門的な点検を担う臨床工学技士と、教育を受けた点検補助員が役割を分担し、機器の管理状況を把握するシステムも組み合わせる。人の経験だけに頼らず、地域が変わっても同じように管理の品質を届けられる仕組みをつくり、展開していこうとされています。

海と牛をつなぎ、環境への取り組みを事業にする

株式会社カギノワ 代表取締役 吉川 真希 氏

吉川氏が紹介されたのは、海藻のカギケノリを活用し、牛から出るメタンの削減を目指す事業です。以前から環境のために何かしたいという思いを持つなかで、関わる人にとっても利益が生まれる仕組みなら、取り組みの輪を広げられるのではないかと考えられたそうです。

漁業者が海藻を養殖し、加工したものを畜産の現場へ届ける。メタンの削減に加え、漁業者の収入や、畜産農家の経営にもつながる循環をつくろうとされています。環境への思いを、関わる人が続けられる事業として形にしようとする取り組みです。

現在は、大学や漁業者と連携しながら、培養や養殖、実証に取り組まれています。飼料添加物としての登録を目指す今後の道筋も示され、海と畜産、地域と環境をつなぐ事業の可能性をお話しいただきました。

トークセッション登壇者紹介

ベータベンチャーキャピタル ファンドマネージャー 津野 省吾 氏
銀行やベンチャーキャピタルでの経験を経て、現在は宮崎を拠点にスタートアップへの投資・支援に取り組まれています。今回は、資金調達や投資判断の視点からお話しいただきました。


株式会社ベクトル マネージャー 西海 翔 氏
企業のPR戦略の立案・実行に加え、スタートアップへの投資や新規事業にも携わられています。PRの視点を入り口に、事業の強みや成長の目指し方についてお話しいただきました。


有限責任監査法人トーマツ マネージャー 田中 拓志 氏
金融機関、IT企業、広告代理店などでの経験を生かし、スタートアップや中小企業のマーケティング戦略づくりと実行を支援されています。地域企業の現場に関わる立場から、事業を継続していくための視点を共有いただきました。

伸びている・伸びそうな事業

「事業成長において、イマ必要な視点と実務」を全体テーマに、3つのテーマで意見を交わしました。最初のテーマは「伸びている・伸びそうな事業」です。

津野氏が紹介されたのは、落とし物の問い合わせや管理の負担を減らすサービスの事例です。多くの人が困っていることに、使いやすい解決策を届ける。事業の成長を考えるうえで、向き合う課題の大きさや切実さが大切だと話されました。

西海氏からは、AIによって事業を始めるためのコストや環境が変わるなかで、ブランドをつくることの価値が語られました。技術を使って何かをつくれることに加え、その商品や会社が選ばれる理由を持っているか。変化が速いからこそ、自分たちにしか積み重ねられない強みが問われています。

田中氏は、マーケティングを売れる仕組みづくり、ブランディングを売れ続ける仕組みづくりと整理されました。社会課題に新しい技術を掛け合わせ、解決の仕方を更新すること。一度の話題で終わらせず、価値を届け続けること。その両方を考える必要があると示されました。

投資や協業の意思決定時に何を見ているか

投資や協業を判断するときに何を見るのかという問いでは、事業の内容とともに、それに取り組む人やチームが話題になりました。

西海氏が挙げられたのは、ほかの企業が同じ領域に入ってきても、選ばれる理由があるかという視点です。採択者ピッチで紹介された中村氏の事業にも触れ、長年の現場経験や専門知識、人とのつながりがあるからこそ実現できることに、強みがあると話されました。

津野氏からは、課題の広がりや投資に対するリターンに加え、長い時間をともにできる相手かという視点が示されました。事業を進めるなかでは、難しい局面もある。そのときにも誠実に向き合い、粘り強く取り組めるかを大切にされているそうです。

田中氏は、協業する相手がこれまで何に取り組み、どのような思いを発信しているかを見ると話されました。また、新規事業を担当する人が、組織のなかでどのように評価されているかも重要な点です。企画の良さだけでなく、取り組みを続けられる体制があるかにも目を向けられていました。

地方・BtoB・スモールビジネスなど、話題になりにくい領域での戦い方

後半は、地域の事業や企業向けのサービス、小規模な事業が、どのように成長していくかを掘り下げました。

田中氏が挙げられたのは、相手と直接向き合い、自分たちの価値を必要としている人へ届けることでした。技術が進歩しても、相手を知り、関係を築くための地道な行動は変わらず大切です。

津野氏からは、地域の企業に目を向ける投資家が増え、地域の垣根が低くなっているという実感も語られました。地域で活動しているからこそ、発信を重ねることで存在を知ってもらえる可能性もあります。

西海氏は、広く話題になることが、すべての事業に必要とは限らないと話されました。企業向けのサービスであれば、その業界で必要な人に知られることが大切です。誰に届けるのか、何を目指すのかによって、必要な発信や成長の形も変わってきます。

議論は、上場だけでなく、M&Aを通じて事業を広げる選択肢にも及びました。自分たちが目指す姿に応じて、資金の使い方や成長の速度を考える。ひとつの成功の形に当てはめず、事業に合う道筋を見定める視点が共有されました。

2026年度KVM(九州・山口ベンチャーマーケット)出場者の紹介とピッチ

交流会では、11月9日に開催される「KVM(九州・山口ベンチャーマーケット)」に鹿児島県代表として出場される2社(株式会社ZIFISH、株式会社AmaterZ)が紹介されました。

そのうち株式会社AmaterZの矢島代表によりピッチが行われ、畜産の現場で得られるデータを活用する取り組みが紹介されました。

温室効果ガスを減らすことと、減らしたと証明することは異なる。その課題に対し、畜舎の環境をセンサーで測定し、得られたデータから排出量を評価する仕組みについてお話しいただきました。

さらに、実測データをAIに蓄積し、家畜の状態の把握や予測、現場の知識の共有にも生かそうとされています。環境への対応と生産現場の経営改善を、データから支える取り組みでした。

参加者の声

初めて参加された鹿児島大学の学生からは、参加前は難しい話が多いのではないかと思っていたものの、学生にも理解しやすく、学びの多い時間になったという感想をいただきました。

特に印象に残ったのは、普段触れる機会の少ない資金調達や投資の話だったそうです。会社を動かしていくうえで重要なことを知る機会になり、今後も都合が合えば参加したいと話されていました。

また、事業の内容だけでなく、人と直接向き合うことの大切さも感じられたとのことでした。人との関わりを大事にする姿勢は、学生であるご自身の活動にも生かしていきたいと話されていました。

交流会内でピッチをされた株式会社AmaterZの矢島代表も、CHESTに集まる人の熱意や、和気あいあいとした雰囲気について感想をいただきました。事業について話しながら、気軽に言葉を交わせる。そうした場の親しみやすさも、交流を支えるひとつになっているようです。

まとめ

思いを伝え、事業を育てる仲間と出会う

今回の採択者ピッチからは、医療や環境の現場で感じた課題を、自分たちの経験や技術で解決しようとする姿が見えてきました。そしてトークセッションでは、その挑戦を事業として続けるために、誰に価値を届け、どのような成長を目指すかを考えました。

新しい技術を生かすことも、資金を確保することも、必要な人に知ってもらうことも大切です。その土台には、取り組む人の思いや、現場で積み重ねた経験、信頼できる相手との関係があります。

挑戦する人と、その挑戦を支える人が出会い、互いの考えを持ち寄る。CHESTのコミュニティイベントが、地域の事業を育てるつながりのきっかけとなれば幸いです。

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