【イベントレポート】令和8年度 第2回コミュニティイベント「人との出会いから、自分らしい挑戦が動き出す」

人との出会いから、自分らしい挑戦が動き出す
9月24日(木)、かごしまスタートアップ成長支援プログラム「CHEST」の第2回コミュニティイベントを、ライカ ワークラウンジにて開催しました。
今回は、社内起業制度や社内ベンチャーへの出向を通じて、企業に勤めながら新規事業を立ち上げてこられたお二人をゲストにお迎えしました。なぜ挑戦しようと思ったのか。自分の思いを、どのように事業へとつなげてきたのか。地域の人や企業との関わりを交えながら、その歩みをお話しいただきました。
お二人に共通していたのは、初めから起業や新規事業を目指していたわけではないということです。目の前の機会に応じ、人に会い、自分の関心を確かめていく。その積み重ねが、現在の事業につながっていました。
セミナー登壇者紹介
株式会社ソコナラ(関西電力グループ)代表取締役CEO 三宅 庸介 氏
福岡市出身。九州大学大学院修了後、関西電力に入社し、法人向けの技術営業などに従事。管理職を経て社内起業制度に挑戦し、2024年7月、地元・福岡で株式会社ソコナラを設立されました。地域企業の経営者と、これからのキャリアを考える個人との出会いを通じて、新たな選択肢を生み出す事業に取り組まれています。国家資格キャリアコンサルタントとして、キャリア教育や人材育成にも関わられています。

KBCグループホールディングス株式会社 経営戦略室 兼 地域プロデュース本部(新規事業担当) 中間 雄大 氏
鹿児島市出身。鹿児島県立鶴丸高校、早稲田大学教育学部を卒業後、2013年にKBC九州朝日放送へ入社。「アサデスKBC」「ドォーモ」などの番組制作やテレビ営業を経験し、2022年から社内ベンチャーの株式会社Glocal Kへ出向されました。九州のZ世代と社会をつなぐ共創コミュニティ「UniiiQ!」を立ち上げ、現在は地域産品の海外輸出にも取り組まれています。

求人票では見えなかった選択肢に、人との出会いがつながる
三宅氏の出発点には、人の感情や人生に関わる仕事をしたいという思いがありました。学生時代から続けていた音楽活動で、演奏を聴いた人が心を動かされる姿を見たこと。その経験は、技術営業として働くなかでも、ご自身の関心の底に残っていたといいます。
仕事を重ねるにつれ、技術そのもの以上に、人や組織の動きに関心があると気づき、キャリア支援を学ぶようになりました。社内起業制度への挑戦も、目の前の機会を受け入れ、行動してみたことから始まっています。
事業の背景にあるのは、地元へ戻りたいと思っても、求人票や年収などの条件だけでは、その先の働き方を想像しづらかったという実感です。一方、実際に移住や転職をした方に話を聞くと、経営者と知り合ったことが転機になっている。そこで着目したのが、地域企業の経営者と直接話す機会でした。
企業の話を聞き、仮に自分がその会社で働くなら何ができるかを考える。初めは地域を巡る一日がかりの企画でしたが、参加者の反応を見ながら、経営者との対話を中心とする数時間のイベントへと絞っていきました。人に会うことで初めて見えてくる選択肢を、事業として届けようとされています。
地域で抱ける希望を、もっと広げたい
中間氏は、進学や就職を振り返り、周囲が安心する道や、一般的に正解とされる選択をしてきたと話されました。その感覚が変わったのは、番組制作や新規事業を通じて、自分の言葉で思いや未来を語る人たちに出会ったことです。
自分は何を実現したいのか。問い直すなかで見つけたテーマが、地方から希望の格差をなくすことでした。都会ならできるけれど地方では難しい。そう感じられていることのなかには、地域の可能性がまだ見えていないだけのものもあるのではないか、と語られました。
若者と地域をつなぐ取り組みでは、学生と地域企業が一緒に商品を考える機会をつくっています。紹介されたのは、成人を迎えた子どもと親の初めての乾杯をテーマにした商品づくり。地域の産業を知るだけでなく、自分も関わる経験へとつなげています。
もうひとつの挑戦が、シンガポールやマレーシアなどへの地域産品の輸出です。地域にある価値を見つけ、相手に伝える。その力は、番組制作と新規事業の両方に通じています。海外への挑戦も、特別なものではなく、地域企業が選べる身近な選択肢にしたいという思いが語られました。

最初の一歩を支える人にも、光を当てる
クロストークでは、会社や業界の外に出る経験を掘り下げました。
慣れた環境から外へ出ると、知らない言葉や考え方に戸惑うこともあります。それでも、別の世界に触れることで、自分が当たり前だと思っていたことや、やりたいことが少しずつ変わっていく。お二人の経験からは、出会いと行動を重ねながら、自分の軸が形になる過程が見えてきました。
中間氏が挙げられたのは、そうした場へ連れていってくれる人の存在です。挑戦する本人だけでなく、機会をつくる人、背中を押す人、二番目に続く人もいる。その支えやフォロワーシップにも、もっと目を向ける必要があると話されました。
事業の収益性も、大切な論点になりました。本人の思いを出発点として応援することと、担当者が数字に向き合うこと。その両方が必要です。輸出事業では、自社の売上が地域企業の売上にもつながります。自社の収益だけでなく、地域にどのような価値が広がるかという視点も示されました。
参加者によるライトニングトーク
ライトニングトークでは、地域で進められている3つの取り組みが紹介されました。
甘いものを入り口にした口腔ケア商品の開発
歯磨きが難しい子どもや高齢者にも、自ら手に取ってもらえるものを届けたい。そうした課題意識から、甘いものを使った口腔ケア商品の構想が紹介されました。試作品や製造、パッケージの準備を進め、鹿児島から全国、さらに東南アジアへの展開を目指されているとのことです。
映像を通じて、地域の知られざる魅力を伝える
映像制作者として鹿児島へ戻り、地域の魅力を発信する取り組み。SNSや機材の普及で映像制作の環境が変わるなか、通常の制作業務に加えて、自分ならではの活動を模索されています。PR動画の配信と、上映や地域の食を組み合わせた企画についてお話しいただきました。
地域企業の力を掛け合わせ、新しい事業を考える
一社だけでは対応が難しい課題に、企業同士の経営資源を組み合わせて取り組むプロジェクトです。外部の講師を鹿児島へ招き、個人とグループの両方で事業構想を進める仕組みや、事業化に向けた支援が紹介されました。



参加者の声
映像制作に取り組む参加者からは、登壇者の経験に自分と重なる部分を感じたという感想をいただきました。
一人で事業を進めていると、今の会社の規模で新しい挑戦をする意味があるのかと思い悩むこともある。それでも、自分が動くことで周囲にプラスを生み出せるなら、胸を張って挑戦してよいのではないか。今回の話は、ご自身の取り組みを肯定的に捉え直すきっかけになったそうです。
自分の心の声に正直に行動すること。そして、他人の正解だけでなく、自分にとっての正解を探していくこと。お二人の話が、ご自身の次の一歩への励みになったと話されていました。
登壇された三宅氏からも、今回の登壇が鹿児島の方々とつながるよい機会になったという感想をいただきました。多様な人が集まる場に触れ、こうした出会いから新規事業が生まれるのではないかと感じられたそうです。


まとめ
出会いを、自分の次の一歩へ
今回のお二人の話から見えてきたのは、自分らしい挑戦は、行動しながら形になっていくということです。関心のある場に足を運び、人の話を聞き、自分にできることを試してみる。その先で、思いが具体的な事業へとつながっていました。
そして、その一歩を支える人や場も欠かせません。挑戦する人と、それを応援する人が出会い、互いの可能性に気づく。CHESTのコミュニティイベントが、そうしたきっかけとなれば幸いです。