【イベントレポート】令和7年度 第7回コミュニティイベント「資金調達・資本政策」

公開日
2026/03/02

「小さく生んで大きく育てる」資金調達と資本政策の考え方

鹿児島県(商工労働水産部産業立地課新産業創出室スタートアップ支援係)が主催する「かごしまスタートアップ成長支援プログラム『CHEST』」では、県内外で挑戦する起業家や支援者が学び、つながる場として、令和7年度もコミュニティイベントを継続的に開催しています。

2月26日(木)、第7回コミュニティイベントを県庁行政庁舎18階「かごゆいテラス」にて開催しました。
今回は「資金調達・資本政策」をテーマに、ベンチャーキャピタル(VC)と日本政策金融公庫という異なる立場の資金提供者をゲストに迎え、それぞれの評価視点や意思決定の考え方について、トークディスカッション形式で実施しました。

セミナー登壇者紹介

ベータ・ベンチャーキャピタル株式会社 ファンドマネージャー 津野 省吾 氏
宮崎市出身・在住。2005年4月に株式会社宮崎太陽銀行へ入行。2011年に株式会社宮崎太陽キャピタルへ出向し、ベンチャーキャピタル業務に従事。ベンチャーファンド3本の運営に携わり、宮崎県内のスタートアップを中心に15社へ投資。企業理念やミッションへの共感を軸に、2018年4月にベータ・ベンチャーキャピタル株式会社へ参画。2021年11月に宮崎オフィスを立ち上げ、現在は宮崎を拠点にスタートアップ支援を行う。


日本政策金融公庫 熊本創業支援センター 所長 永松 伸悟 氏
2008年国民生活金融公庫入庫。同年10月に株式会社日本政策金融公庫へ統合。九州や東京での支店経験を経て、2015年より創業支援部(本店)に配属。創業者向けセミナーや高校生向けビジネスプランコンテストの企画・運営を担当。2025年8月より熊本創業支援センター所長に着任し、南九州地区(熊本県、宮崎県、鹿児島県)における地域活性化の取り組みを推進。一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®。

デットとエクイティの違いから考える資本政策

ディスカッションではまず、資金調達の基本となるデット(融資)とエクイティ(投資)の違いについて整理が行われました。

融資は返済を前提とするため、「最低ラインの利益でも返済可能か」という視点で審査が行われます。一方、投資は返済義務がなく、「どれだけ成長し、将来的にリターンを生み出せるか」という成長性が重視されます。同じ事業であっても、提出する事業計画の見せ方や強調点が異なることが共有されました。

また、事業計画は“当てるため”のものではなく、計画と実績の差から課題を早期に把握し、次の打ち手を検討するための重要な経営ツールであるという考え方も示されました。

スタートアップに求められる資金繰りと成長戦略

スタートアップは不確実性が高く、短期間で売上が安定しないケースも少なくありません。そのため、どれだけ事業を継続できるかという資金繰りの視点が極めて重要であると説明されました。

投資向けの計画では、ベース・アグレッシブ・ワーストといった複数シナリオを想定することの重要性が示されました。一方で融資についても、初期段階から相談が可能であり、目的や使途を整理した上で準備を進めることが望ましいとされました。

「小さく生んで大きく育てる」という選択

議論の中では、最初から規模を拡大するのではなく、小さく始めて検証を重ねながら成長させていくことの重要性も共有されました。

事業を絞り込むことで成功確率を高め、状況に応じた軌道修正を行いやすくなるという視点は、多くの参加者にとって実践的な示唆となりました。資本政策は、企業の将来に大きく影響する重要な意思決定であり、自社のフェーズや目的に応じて主体的に選択する必要があることが強調されました。

セミナー後の交流会の様子

パネルディスカッション後には交流会を実施し、参加者と登壇者が直接意見交換を行いました。VCと金融機関という異なる立場の視点を同時に学べる機会は貴重であり、活発な対話が生まれました。

参加者の声

「VCと金融機関の視点の違いを直接聞くことができ、自身の事業計画を見直すきっかけになりました。どちらか一方ではなく、自社の目的に応じて選択するという考え方が印象的でした。」

まとめ

資金調達は「未来を設計する経営判断」

今回のコミュニティイベントでは、資金調達や資本政策を単なる資金確保の手段としてではなく、自社の未来をどのように描き、誰とともに成長していくのかを考える経営判断として捉え直す機会となりました。

異なる立場の専門家の視点を学び、参加者同士が対話を重ねることで、鹿児島における挑戦を支える新たな気づきが生まれました。

CHESTでは、今後もこうした実践的な学びと交流の場を通じて、地域からの挑戦を後押ししてまいります。

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