【イベントレポート】令和7年度 第5回コミュニティイベント「HR(採用・組織開発)」
- 公開日
- 2025/12/26
「良い人材」とは誰か。組織と向き合う視点を深める時間
鹿児島県が主催する「CHEST」では、県内外で挑戦する起業家や支援者が学び、つながる場として、令和7年度もコミュニティイベントを継続的に開催しています。
12月18日(木)、第5回コミュニティイベントを県庁行政庁舎18階「かごゆいテラス」にて開催しました。
今回は「HR(採用・組織開発)」をテーマに、採用や組織づくりの現場で数多くの経験を持つゲストを迎え、トークディスカッション形式で実施しました。

セミナー登壇者紹介
株式会社スタートアップクラス 代表取締役社長 藤岡 清高 氏
スタートアップ専門の採用支援に長年携わり、シード・アーリーフェーズ企業を中心に数多くの人材マッチングを支援。

株式会社鶴結び 代表取締役 卓間 昭憲 氏
人事・組織領域の実務経験を経て、現在は鹿児島を拠点に、学生のキャリア支援や企業の採用・組織づくりに取り組む。

「良い人材」は一つではない
フェーズによって変わる採用の考え方
ディスカッションの冒頭では、「良い人を採用したい」という言葉が、いかに曖昧なまま使われがちか、という問題提起がありました。
登壇者からは、
- 企業の成長フェーズ
- 事業の目的
- 組織が目指す方向性
によって、「良い人材」の定義は大きく変わる、という考えが示されました。
立ち上げ期に求められるのは、限られたリソースの中でも主体的に動ける人材である一方、組織が拡大するフェーズでは、仕組みの中で力を発揮できる人材が必要になります。
「誰にとっての良い人なのか」を明確にしないまま採用を進めることが、ミスマッチの原因になるという指摘は、参加者にとって印象的なメッセージとなりました。
採用は「手法」ではなく「向き合い方」
セミナーでは、スタートアップにおける採用の特徴についても語られました。
特に強調されたのが、代表者自身が採用に深く関与する重要性です。
事業のビジョンや、なぜこの事業に取り組んでいるのかという背景は、最も代表者が自分の言葉で語れる部分であり、そこに共感した人材が集まりやすいという考えが共有されました。
また、限られた資源の中では、華やかな手法よりも、地道なコミュニケーションや継続的な関係づくりが結果につながるという実体験も紹介され、参加者は熱心に耳を傾けていました。
組織づくりと「新陳代謝」という視点
後半では、採用後の組織づくりや人材定着についても議論が及びました。
話題となったのが、「全員と長く働き続けることが正解とは限らない」という視点です。
組織が成長する過程では、一定の新陳代謝が起こることは避けられず、それを必要以上にネガティブに捉えないことも、経営や組織運営において重要であると語られました。
重要なのは、
- 誰を大切にしたい組織なのか
- どのような基準で評価するのか
を明確にし、残るメンバーが力を発揮できる環境を整え続けること。
採用と組織開発を切り離さず、一体として考える必要性が共有されました。
参加者の声



経営者・支援者の立場から
「人が辞めることを必要以上に恐れていましたが、新陳代謝を前向きに捉える考え方に気づかされました。
残るメンバーがどう成長できるかを考えることが大切だと感じました。」
学生参加者の立場から
「就職活動をする中で、企業側がどのような視点で人材を見ているのか、普段は聞けない話を知ることができました。
スタートアップの実情を知り、自分の将来を考える上での視野が広がりました。」
まとめ
人と向き合い続けることが、組織を育てる
今回のコミュニティイベントでは、採用や組織づくりを単なるノウハウとして学ぶのではなく、**「人とどう向き合い続けるか」**という本質的な問いに立ち返る時間となりました。
立場や経験の異なる参加者が同じテーマについて考え、対話することで、多様な気づきが生まれたことも本イベントの大きな成果です。
CHESTでは、今後もこうした学びと交流の場を通じて、鹿児島における挑戦を後押ししてまいります。
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